坂の上の雲 <新装版> 2



坂の上の雲 <新装版> 2
坂の上の雲 <新装版> 2

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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明治日本の純粋さを見た

列強の侵略の恐怖に追い立てられるようにして開国、ほとんど無血に近い明治維新という革命を成し遂げた明治日本が、悲痛なまでに苦しい国際情勢の中で「生き延びるため」に、まだ色濃く残る「武士道」の世界と「近代」の相克の中で、苦しみぬきながらも必死にはい上がっていく姿が描かれています。

ただし、戦争や英雄礼賛の物語ではなく、世間の風評にとらわれず、内外の文献を調査のうえ、登場人物の力量や性格について誉めるべきところは誉め、批判すべきことは徹底的に批判することにより、この時代の人間像を過不足なく描ききっています。

作者も指摘している通り、正岡子規、秋山兄弟という一応の主人公は、この「時代」と「人間像」を描くための一つの題材にすぎません(もちろん、彼ら3名はそのそれぞれの生き方について、英雄たるにふさわしいほどの魅力を持ってはいます)

明治日本人の「生きる」ことへのひたむきさ、一方での、生き抜くために必要な合理主義的な考え方、未来を信じる楽観的な見方などは、前途に希望がもてず閉塞感がただよう現代の我々こそ、見習うべきものなのではないでしょうか。

第2部では、日清戦争から日露開戦直前までが描かれています。なぜ、十分な国力を持たない日本が、当時「世界最強の陸軍大国」と呼ばれたロシアと戦わなければならなくなったのか。
そこにあるのは「国家の威信」といった抽象的な考えではなく、絶対的な力をもつ帝国主義の世界の中で「生き残る」ための悲痛な決意でした。

逆境にあって、ひるむことなく、「熱い想いと冷静な判断」によって、この無謀とも思える戦争に挑んでいく姿は、太平洋戦争前の日本の「精神主義」や現代日本の「事なかれ主義」とも異なった、自らの力で暗澹たる状況の中から一つの希望を選び取っていく決意が感じられ感動を覚えました。

また、その過程を冷静に描く司馬の筆致が、よりこの時代の空気をよく伝えているのだと思いました。



文藝春秋
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