ならぬ堪忍 (新潮文庫)



ならぬ堪忍 (新潮文庫)
ならぬ堪忍 (新潮文庫)

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渋めの武家ものを集めた短編集。初期周五なりのおもしろさ

著者自身が戦前の作品は「見かけたら破りすててくれい」としばしばもらしていたというが、周五郎初心者のワタクシとしても壮大な構想・飛躍的な展開かつ心の機微に細やかにふれる繊細な筆致につくづく感心させられる戦後の周五郎に比して、戦前ものはそれほどでもない、と思っている(生意気ですけど)。この短編は没後発掘4編(湖畔の人々/ならぬ堪忍/鴉片のパイプ/白魚橋の仇討)までとりあげて、そういう戦前初期作品を集めてあるのである。(本人は怒るかもしれませんね)表題作などは4ページほどの短編で、いまでいえば広報誌の読み物程度のもの。なにもそこまでという気もしなくはないが、そこは周五郎だけにそこそこ驚かされ、感心させられ、何十年もたった今日では陳腐な方法論でありながらそこそこおもしろく感じられるのはさすが。13編のうち「鴉片〜」だけが現代ミステリーだが、他は全て武家もの。生きるのに不器用な浪人/藩内派閥抗争/やたらめったら爽やかで強いヤツなど、後年の名作を彩る人物のプロトタイプが現れているといえよう。

ワタクシのお気に入りは「湖畔の人々」超ワンマン家老が新進気鋭の勘定奉行にやりこめられる、と、その男は長年仮面夫婦を続けた妻の前夫との間にできた子であった...これだけ読むとドロドロしてそうに思うかもしれないが、そこは山本周五郎だけに読後感の充実したものになっている。思えば解散総選挙。現実の政治の世代交代もこのようにいけばよいが



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