当たる確率はどの番号でも同じはずなのに、「人々は『0000001』という番号の宝クジを好まない…」。こんな警句の引用で本書は始まっている。著者はここから、人は不確実性のもとで必ずしも合理的な意思決定をするわけではないという意味を導いていく。これは行動ファイナンスの主張をうまく表しているといえよう。 市場参加者の行動に心理学を適用して金融市場の動きを解明する行動ファイナンスは、最近日本でも注目されている新しい金融理論である。本書はその貴重な文献になるものであり、また市場合理性に基づく従来の分析や通念に正面から反証を試みるという刺激的な理論書の側面を持っている。 その理論により明らかにされる投資家の非合理的行動は実に興味深い。たとえば複雑な状況の単純化や短時間で判断する際の情報の過大・過小評価といった「ヒューリスティック」の問題、相当のコストをかけて作ったポジションの利益や損失評価が「相対評価」に陥ること、意志決定を正当化するために「不協和からの逃避」「コントロールへの欲求」といった心理操作が働くことなどだ。 本書では、これらが実に多彩な事例から導き出されている。たとえば、ドル/ユーロの為替市場で500万ユーロの買いを入れたトレーダーがやがてパニックに陥る、という実戦さながらのものから、コイントスのギャンブル、レストランでのメニュー選択といった身近なものまでさまざまである。 最終的に著者は、これらの理論を集約させて、実際のトレーディングのさまざまな意思決定局面にアドバイスを送っている。これは「脳の三位一体説」から市場参加者の3タイプを分類したアイデアとともに、行動ファイナンスの独自の処方箋として必見の内容である。 全体を通して、理論と実践の双方の視点がしっかりと反映されている。本書で得られる知見は、市場の諸理論と実際のマーケットの動きとのギャップを説明するツールとして、また投資の実践的なガイドとして有意義なものになるだろう。本書の随所に感じられる、市場の非合理性を克服しようとする投資哲学も魅力である。(棚上 勉)
トレーダーとして成功できなかったアナリストの戯言
本書の原著者紹介で、著者のゴールドベルグ氏は1983年より、ドイツの大手銀行でトレーダーおよびテクニカル・アナリストとして活躍したと書いてありますが、これは誤りもしくは誇張。実際はドイツ銀行で1983年より主にアナリストとしてテクニカル分析に特化した仕事をしていたようです(独版wikiより)。それはつまり、同氏は実際に相場を張るトレーダーとしては、成功しなかったことの証明。
このことは本書を読んでみても分かるのですが、例えば同著P141において、トレーダー、デイトレーダーや短期の投資家は、本能的に行動し自らを過信し、「未熟な行動をする」や「購入価格に過度にこだわる」という風に説明されています。そして、彼らと比べてアナリストや長期トレーダーは極めて理性的だ、と述べています。
しかし、賢明なる投資家の方々はよくご存知かと思いますが、短期に長期にしろ、機関投資家にしろ個人投資家にしろ、相場で確実に利益を上げている人は、そんなに本能的・感情的に行動しないし、アテが外れたら購入価格にこだわらずサッサとロスカットしていますよね。トレーダーの視点から本書を読むと、驚くほど失笑の連続です。何というか、視点の切り口がいかにも負けるトレーダーの視点なんですよね。P34ではトレーダーとしての素質を大学の成績と職務経験年数という、いかにも的外れなポイントに起因させているし、最後にはトレーディングで成功するためには「投資家はアナリストに意見を求めるべき」などと主張する始末。なんだかピント外れ感の否めない一冊です。
ファンドマネジャー必読
心理学と投資を結びつけた金融理論である“行動ファイナンス”
投資家の非合理的な行動がどういった心理からなされるか、
理論として系統立てて書いてあります。
また、合理的な行動をとるためにはどういったことに
気をつければいいかの対策も。
学問として非常に興味が持てる。外人特有の書き方。
へぇ、なるほど
『最初にA商店に寄って、次にB商店に寄った。彼が気に入った調理器具は両方の店で 売っていたが、A商店での値段は2480ドルでB商店より10ドル安かった。だが、お腹 も空いたし10ドルくらいなら大した違いはないと考え、彼はB商店で買うことにした。 市場参加者の行動に当てはめるならば、これは・・・』題名から「小難しい理論の本」を想像させるが、理論を展開する前、もしくは後に 上記のような身近な例を挙げるので理解がしやすい。 とはいえ、「市場の非合理性を解き明かす新しい金融理論」がサブタイトルですので それなりに骨のある内容です。 私は投資暦も短く金融業会の人間ではないので、本の内容をすべて理解することは 出来ませんでしたが、「へぇーなるほど」と思うことの多い本でした。
この本を読んで投資スタンスを変えました
今年定年で、株取引の回数が増えましたが、今までやっていた貯株スタイルからアクティブ投資に傾きつつあります。最近のようにネット取引が増えると、過去の考え方はあまり通ぜず、値動きが激しくその変化をうまくつかんでいく必要がありますが、この本は動きの激しさの中でどのように考え、対処していけば良いかを見事に指摘しています。わたしも、株式取引暦は20年を超えようとしていますが、従来の株式金言のように経験だけではなく、理論として、述べているのに感動しました。塩漬け株もリファレンスポイントを見直せば利益の源泉になるでしょう。デイトレーダーでは大きな利益も得られないことも指摘しています。残念ながら、翻訳が硬すぎて極めて読みづらいのが難点です。なお、昨年のノーベル経済学賞のダニエル・カーネマン氏の論文が多用されています。時世に遅れないように金融業会の方にも推薦します。
気まぐれマーケットを生き抜くための精神安定剤
この「行動ファイナンス」は、マーケットにおける人間の心理状況を分析しまくった本。自分のしでかしたミスをとことん見直したいとき、頭をさっぱりさせたい時にお勧めの精神安定剤のような本です。 わたしは金融関係の仕事をしていますが、最初は気まぐれなマーケットが嫌いでたまりませんでした。相場の波に乗ったと思いきや、みんなが担ぐ神輿に振り落とされないようにしながら、一生懸命についていくのがやっと。。。でもある時、その相場の中に、人間のもつ畏れ、喜び、下心といった心理が投影されていることに気づき、以来、すこし愛着をもって仕事ができるようになりました。こういう分野を学問として分析されている方もいらっしゃるのですね。 ちなみに、負けそうになった時に、追加買いして平均コストを下げようとする「ナンピン買い」の心理についても説明されています。「恐れの状態から、向こう見ずになることで、心理的な補償を得ようとする」−−といったもの。 これは、バーゲンに行って、半額になってしまった色違いのスカートを、くやし紛れにナンピン買いする心理に似通っているかもしれません。ただこの場合は、精神的にもお値段的にお得なので、まだ救いがありますが、マーケットは本当に油断できません。
ダイヤモンド社
行動ファイナンスと投資の心理学―ケースで考える欲望と恐怖の市場行動への影響 投資の科学 あなたが知らないマーケットの不思議な振る舞い 株式投資の未来〜永続する会社が本当の利益をもたらす 行動ファイナンスの実践 投資家心理が動かす金融市場を読む 最新 行動ファイナンス入門
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